貯血式自己血輸血製剤の採取に伴う細菌汚染の評価

摘要

貯血式自己血輸血では採血時の細菌汚染が危惧される.琉球大学医学部附属病院で採取した自己血製剤の初流血を培養して細菌汚染の頻度を評価し，その生菌数濃度と白血球除去の影響を解析した.2005年7月以降，2,209件の初流血5mlを培養し，4件（0.18%)で陽性となった.分離菌種はStaphylococcushominis 2件，S. warned1件， S. capitis1件で,血液培養装置での陽性判定時間と生菌数濃度との回帰式から4件中3件の初流血は0.06～5.3colony-forming units(cfu)/ml, S. warneriの分離された1件で1.4x104cfu/mlの生菌数濃度を示した.白血球除去フィルターを通過させた製剤では，添加したS. hominisが室温放置で対数増殖を開始したが，通過させなかった全血製剤ではほとんど生菌数の増加が観察されず，グラム染色標本では添加した細菌を好中球が多数貪食している像が確認された.以上の結果から，貯血式自己血採血での細菌汚染の頻度は極低値にあるものの皆無ではなく，製剤の調製には充分な注意が必要なこと，また白血球の除去については，その長短についてさらなる検討が必要と考えた.