光線力学的療法(PDT)を施行した肝門部胆管癌の3例の治療経験- 第1報 -

摘要

光線力学的療法(以下PDT)は管腔臓器表面の癌治療に有効で安全な治療法である。 今回癌遺残部の治療と癌性狭窄解除の目的でPDTを試みた。 腫瘍組織集積性の高い光感受性物質を静注し, 72時間後PTCS下に630nmのエキシマダイレ-ザ-光を病変部に照射した。患者は照射後3週間日光過敏症を避けるため薄暗い暗室で過ごした。 PDTを3例の肝門部胆管癌症例に行った。 67歳男性と57歳女性では,尾状葉を伴う拡大肝右葉切除を行ったが胆管断端は癌遺残陽性であった。 肝管空腸吻合部にPDTを1回照射後,胆管粘膜は脱落変性し胆管壁全体に変化が認められた。 1例は81歳女性で左右肝管に高度な癌浸潤があり後区域胆管は閉塞していた。 閉塞解除の目的でPDTを左右胆管枝より連日2日間行い,胆管開通後ステント留置術を行った。 重篤な合併症は認めず, PDTは安全かつ有効な胆管癌治療法の一つと考えられた。