MDCTによる膵臓の診断—特に小膵癌，IPMN由来浸潤癌のMDCT診断について一

摘要

MDCTでは0.5 mmという非常に細かいスライスのCT画像が撮影できる。MDCTは 撮影時間が短いため，動脈層，門脈層，静脈屑などのダイナミックCTが広範囲で撮影可能で ある。これらのデ一タから3次元画像の作成も可能である。MDCTによって膵臓の病変が描 出できるかどうか検討したところ，従来のCTとは異なり，門脈浸潤，SMA周囲神経叢浸潤， 大動脈周囲リンパ節転移の有無などが診断でき,手術適応の決定や術式の選択に有用であつ た。MDCTで小膵癌の発見が可能となり，臈癌の治療成績が向上すると考えられる。自験例 の小膵癌のMDCT像について提示した。Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) にはいまだわかっていない病態が存在するが，IPMNから浸潤癌に進展すると予後が不良に なってくる。そこでIPMN由来浸潤癌がMDCTで診断できるかどうか，自験例の4例を提示 してMDCTの有用性について述べた。MDCTの登場により，種々の膵疾患がより詳細に診 断できるようになった。膵疾患ではMDCTはまず最初に行うべき診断法と考えられた。