Dynamic MRIを用いたTime-signal Intensity Curveによる膵疾患の診断と評価

摘要

Dynamic MRIを用いた膵のdynamic曲線(Time-signal Intensity Curve : T-I curve)による膵疾患の器質的·機能的評価の有用性について検討を行った　 T-I curveは,造影25秒後に急峻な立ち上がりを示し,その後に急速な減衰を示す型(Ⅰ型),造影効果が徐々に増強し,ピークが造影1分後(Ⅱ型)または2分後以降(Ⅲ型)にみられる遅延型,造影効果に乏しくほぼ平坦な曲線を示す型(Ⅳ型)に大別された。 組織像との対比から, Ⅰ型は正常膵に, Ⅳ型は嚢胞性疾患に特異的な所見であった。 遅延型は慢性膵炎と膵管癌でみられ,慢性膵炎の80%がⅡ型を,膵管癌の70%がⅢ型を示した。 一方, T-I curveは膵実質の線維化の程度と膵機能も鋭敏に反映した。 膵実質中に占める線維面積の割合(線維化率)はⅠ型は3.19%,Ⅱ型は19.6%, Ⅲ型は26.8%で　 T-I curveがI型の場合は多くが正常の膵内外分泌機能を示し, Ⅱ型Ⅲ型になるに従って膵機能低下例の占める割合が有意に増加した。 今後は,機能画像(functional MRI)とともに血管新生や血管透過性の変化も含めた膵組織の病態病理とdynamic MRIの関連に着目していくことが重要であると思われる.