マクロアミラーゼ血症とその臨床的意義

摘要

マクロアミラーゼには自然発症のものと医原性のものがある。 マクロアミラーゼは通常,自然発症のものを指し,その本体はアミラーゼと免疫グロブリンの複合体である.このような血中酵素と免疫グロブリン複合体が流血中に存在する現象が日常臨床に使っている血中酵素に共通して知られ, 20年ほど前から,マクロアミラーゼは血中酵素-免疫グロブリン複合体の一つとして理解されるようになっている。 このような背景から,特に1980年代に,これらの複合体についての研究が精力的になされ,検出·同定法と生物物理化学的性状の解明にある程度の進歩がみられたが,今日にいたるまで,それらの臨床意義は,分析意義を除き,相変わらずはっきりしない。ここでは,マクロアミラーゼの今日的な検出法:存在を疑わせる検査所見とその検出·同定法,性状,頻度と背景疾患,加えて最近の臨床情報から推定される,マクロアミラーゼの妥当な一つの発生機序が紹介されている。