大腸内視鏡検査後に後腹膜，縦隔，皮下に気腫をきたした直腸憩室穿孔の1例

摘要

消化管の後腹膜穿孔は遊離腹腔内への穿孔に比べ症状の出現が遅く，診断が困難となる場合がある.われわれは，大腸内視鏡検査後 に直腸憩室が穿孔し広範囲の後腹膜気腫，縦隔気 腫，皮下気腫をきたした1例を経験したので，文 献的考察を加え報告する.2011年4月上旬に，嘔吐と下痢のため急性胃腸炎の診断で当院内科に入院した.7日間 の保存的治療により状態は改善し，退院前にスク リーニングとして大腸内視鏡検査が行われた.肛 門縁より19cmの直腸に深い憩室を認め，腹痛を 訴えたため，検査を中止した（図1).検査後下腹 部痛が増強し，発熱も伴い，外科的治療の可能性 ありとのことで翌日外科に転科した.