異食症に起因した虫垂内異物の1例

摘要

消化管内に誤飲された異物は，ときに消化管内に長期停滞する．とくに盲端構造の虫垂では，異物の長期停滞による急性虫垂炎，虫垂穿孔を発症する場合がある．今回われわれは，異食症（毛髪の大量摂取）に起因した虫垂内異物の1例を経験したので，文献的考察を加え報告する．症例　29歳，女性主訴：下腹部痛家族歴·既往歴：特記すべきことはない．現病歴：2002年8月16日午後4時から下腹部痛が出現した。 近医を受診し，急性虫垂炎の診断で同日午後7時に当院救急外来を紹介受診した．入院時現症：身長167cm，体重50kg，体温37.8 deg C，血圧130/70mmHg．右下腹部を中心とした圧痛，反動痛を広範囲に認め，腸音は減弱していた．