下部尿路症状(LUTS)の今を考える

摘要

下部尿路症状(lower urinary tract symptoms ； LUTS),過活動膀胱（overactive bladder ； OAB)および夜間頻尿は生活の質(QOL)を著しく低下させる。LUTSは糖尿病 や高血圧などの生活習慣病において頻度の高い症状であり，泌尿器科専門医のみならず， 一般医によるLUTS診療の機会もますます増えている。このような潮流の中で，大阪泌尿器 科臨床医会の泌尿器科医師464名を対象にLUTSおよび夜間頻尿とその周辺疾患に関する意 識調査を実施した。その結果，新しい前立腺肥大症診療ガイドラインの認知度は高かった 一方で，多くの医師がalpha1遮断薬と抗コリン薬の併用に慎重であった。また，夜間頻尿の治 療は容易でないという意識がうかがわれたが，多くの医師はLUTS診療において生活習慣病 合併を念頭に置き，QOL向上を目指して積極的に治療に取り組んでいると思われた。