不眠を訴える入院患者の転倒·転落防止に対するラメルテオンを用いたクリティカルパス導入の有用性

摘要

転倒·転落は医療事故の中でも発生件数が多く，特に高齢者においては，転倒による大腿骨頸部などの骨折が寝たきりの原因となり，ADL (Activities of Daily Living ；日常生活動作）やQOL (Quality of Life ；生活の質）が低下するだけでなく，生命予後にも大きな影響を及ぼす。そのため，国立病院機構において「転倒·転落事故防止マニュアル」が作成され，2008年6月より運用が開始された。しかし，平成19年度?21年度に国立病院機構で発生した医療事故において，転倒·転落事故は依然として全体の3~4割を占めているリ。転倒.転落のリスクとしては，年齢，筋力低下，転倒の既往，歩行障害，バランス障害などに加え内服薬が考えられ，「転倒·転落事故防止マニュアル」の<転倒·転落を起こしやすい薬剤リスト>には，筋弛緩薬，抗精神病薬とともに，睡眠導入剤が挙げられている。