エルカトニン投与により背部·両手·両下肢の全身性疼痛が改善したステロイド性骨粗鬆症の1例

摘要

ステロイド性骨粗鬆症は医原性の疾患とも言われ，ステロイド療法の副作用として高頻度に発症する。またステロイド服用初期に急激な骨量減少を生じることが特徴であり，近年，ステロイド投与に伴う骨折リスクの著明な増加をいかにコントロ一ルするかが重要な課題となっている。エルカトニンは通常，疼痛を有する高齢の骨粗鬆症患者に投与されるケ一スが多いが，今回，若年で自己免疫性肝炎（autoimmune hepatitis ； AIH）の診断のもとステロイドを長期にわたり使用し，ステロイド性骨粗鬆症を発症した患者の背部·両手·両下肢の全身性疼痛の改善を目的に，エルカトニンを投与したところ有効であった症例を経験したので報告する。