伏見心房細動患者登録研究におけるァピキサバン投与量減量規定合致症例の割合および特徴に関する研究

摘要

伏見心房細動患者登録研究における心房細動患者2785例を解析対象として，新規抗凝固 薬アビキサバンの減量規定(80歳以上，体重60kg以下，血清クレアチニン1.5mg/dL以上の うち，2つ以上に該当する場合2.5mgl日2回投与)に合致する症例(減量症例)の割合と 患者像の特徴を検討した。解析対象症例のうち，実臨床において抗凝固療法の適応となり うるCHA2DS2-VASCスコァ1点以上の治療対象症例2703例のうち，減量規定に合致したの は753例(27.9%)で,うち84.1%が80歳以上 体重60kg以下の2基準に該当した。治療対象 症例のうち,80歳以上の症例(935例)においては減量症例が高率(76.4%)に認められた が，80歳未満(1768例)における減量症例はわずか(2.2%)であった。減量症例と常用量 症例(5mgl日2回投与)の患者背景の比較においては.減量症例は常用量症例より男性 が少なく，また，脳卒中の既往，心不全および慢性腎臓病の頻度が高かった。本研究の結 果から，実臨床においては，アビキサバンの減量規定に合致する患者像として，「80歳以上」 と「体重60kg以下」の2基準に該当する症例が大部分を占めることが示唆された。しかし 地域や施設などによつて心房細動患者の患者背景は異なるため，それに伴い減量症例の割 合や特徴が変化する可能性がある。