ブロナンセリンに置換することで，

摘要

本邦では現時点で，統合失調症に対する非定型抗精神病薬（第2世代抗精神病薬，以下非定型薬）は6剤が上市され，初回治療例において第一選択的に使用されている。その薬理特性から，serotonm-dopamine antagonist (SDA) ， clozapine like multi-active antipsychotics (multi acting receptor targeted agent ： MARTA) ， dopamine D_2 partial agonist (dopamine system stabilizer ； DSS)などと分類されていたが， 2008年4月にdopamine-serotonin antagonist (DSA)であるブロナンセリンが加わり，さらに薬剤の選択肢が広がった。今回筆者は，抗精神病薬主剤をリスペリドンからブロナンセリンに置換することで，過鎮静を伴わない抗幻覚妄想作用が得られ，臨床経過が好転した長期入院療養中の慢性統合失調症の症例を経験したので報告する。なお，症例の呈示に際しては，個人情報保護の観点から， 個人が特定できないように本質的でない部分を改変した。