脳梁膨大部病変を呈したA型ィンフルェンザに対しペラミビルが有効であった1例

摘要

症例は69歳女性。入院前日より発熱，咳嗽，入院当日からは下痢が出現し，同日，自宅で意識を失っているところを発見された。迅速診断でA型インフルエンザと診断し，ペラミビル（peramivir)の投与を開始した。第2病日も解熱なぐショック状態となったた め，ペラミビルの追加投与を行った。血液データ上，.腎機能障害および炎症所見の増悪があり，胸部画像所見上，両側肺野に広範な浸潤影を，脳MRIでは脳梁膨大部に点状の信号 変化を認め，インフルエンザ肺炎および脳症と診断した。2回目の投与後解熱し，神経学 的な後遺症なく退院した。インフルエンザ脳症の中には，可逆性の脳梁膨大部病変を有する脳炎?脳症と分類される一群が近年報告されている。本症例は意識障害に加えて，血圧低下ゃ腎機能障害，肺炎および呼吸不全を合併した重篤な症例であつたと考えられたが， 治療により後遺症なく救命できた。