Mirtazapine投与によ—り職場復爆できた 双極II型障害の1例

摘要

双極性障害のうつ病治療においては，各種 ガイドラインのfirst-line治療は気分安定薬の単 剤投与とされている"。これは抗うつ薬投与に よる，躁転，急速交代型，混合状態などを誘 発する危険性が高いことを危惧するからであ るが，重症例では抗うつ薬の単剤投与は推奨 されないものの，気分安定薬と抗うつ薬の併 用を認めている。臨床の場ではこのような形 の併用を考慮しなければならないケースは意 外に少なくないと思われるが2),併用療法の有 用性に関しては治療上の大きな葛藤となって いる3)。また，薬物による病像の変化のみでな く，双極性障害患者特有の気質的な問題から， 治療関係を良好に維持しつつ適応的な行動パ ターンの実現を目指していくことには難しさ を感じさせられることが多い。今回，mirtaza-pine投与により躁転することなく症状が改善 して職場復帰することができた双極II型障害 の1例を経験したので若干の考察と共に報告 する。