セディール~R（クエン酸タンドスピロン）による抗うつ薬の効果増強の試み

摘要

日常のうつ病の診療で，1種類の抗うつ薬に反応し，かなり寛解状態近くまで回復したものの，その後軽うつ状態が持続するという症例に遭遇することは稀ではない。 この様な症例に対し，別の抗うつ薬を併用したり，別の抗うつ薬に変更するという選択も考えられるが，部分効果を発揮した抗うつ薬の変更による病状悪化の危険性や，他の抗うつ薬の併用による副作用のリスクを考慮すると，現時点での抗うつ薬の効果を保持しつつ，副作用が生じる可能性がより少ない方法で，抗うつ薬の作用を増強させる方が日常の診療上は実際的と考えられる。 そこで今回，上記の如く軽うつ状態が持続している5症例に，5－HT_(1A)受容体作動薬であるtandospironeを追加投与し，その効果を検討した。 その結果，3例が寛解状態へ至った。 このことから，tandospironeの追加投与の有用性が示された。