Irinotecan hydrochloride併用化学療法による悪心·嘔吐に対する塩酸granisetronと塩酸tropisetronの比較検討

摘要

胃癌および大腸癌症例にirinotecan hydrochloride（以下CPT－11）を中心とした化学療法を行い，注射剤と経口剤の5－HT_3受容体拮抗剤の効果を比較した。 胃癌7症例にはCPT－1180～100mg/bodyとCDDP30mg/bodyを2クール投与し，塩酸granisetronを1クール目に，塩酸tropisetronを2クール目に投与した。 悪心·嘔吐と食欲不振に関する制御を副作用の程度で比較検討したが，両群間に差は認めなかった。 大腸癌7症例にCPT－1180～100mg/bodyとMMC 8mg/body，または5－FU250～500mg/bodyを2クール投与し，同様に塩酸granisetronと塩酸tropisetronを投与し比較したが，副作用の程度に差は認められなかった。 また両群とも悪心·嘔吐の抑制率は高かった。 注射剤と経口剤の効果は同等であり，外来治療における使用や経済的利点を考慮すると経口5－HT3受容体拮抗剤の有効性が考えられた。