よりよいインフォームド·コンセント形成支援のための患者アンケート調査 その2　前立腺癌·前立腺肥大症－

摘要

目的：医薬品処方に関するよりよいインフォームド·コンセント形成を支援するため，前立腺癌患者および前立腺肥大症患者に対し，処方薬に関する不安，説明期待情報，処方薬重要視要素などについてアンケート調査を行った。方法：調査票は全国12の医療施設の協力を得て前立腺癌患者1116名，前立腺肥大症患者1148名に配布し，それぞれ450名（回答率40．3％），亜5名（同38．8％）から回答を得た。 結果：薬についてもっとも気になっているのは「副作用」で，前立腺癌で43．3％，前立腺肥大症で40．4％の患者が挙げ，第2位は前立腺癌·肥大症ともに「いつまで薬を継続するのか」であった。 一方，「薬で医師からもっと説明して欲しいところ」という問いに対しては，「有効性」が前立腺癌40．0％·前立腺肥大症42．0％で，いずれも「安全性」を抑えて第1位であった。 処方薬で重要視する要素に関する調査は，階層化意志決走法（Analytic Hierarchy Process：AHP）の一対比較法を用いた。 その結果，重視度（プライオリティ）第1位は前立腺癌·肥大症ともに薬の「有効性·安全性」で，第2位は「医師のすすめ皮」であった。 また，これらの結果は治療法，とりわけ処方されている薬の種類で違いがみられた。 「薬を使いたくないと思うときどうしていますか？」の問いに対しては，前立腺癌·肥大症とも約4割が薬が「イヤな時はない」と回答したが，特に前立腺癌患者のうちのホルモン療法内服製剤処方群（48．3％），前立腺肥大症患者のうちのα遮断薬処方群（49．7％）ではさらに割合が高く，ほぼ半数の患者が製剤に満足していることがうかがわれた。 疾欤夯颊撙嗡a剤に対する関心·不安は，治療法別，とりわけ処方されている薬の種類で違いが大きく出る項目があり，医師は治療法問·薬剤種別問の差異について，きめ細かに説明する必要があることが示唆された。