転移性脳腫瘍で再発が発見され，リンパ節転移にFDG-PET/CTが有用であった甲状腺乳頭癌の1例

摘要

患者は60歳，男性.57歳時に左甲状腺乳頭癌(papillary thyroid carcinoma: PTC)と診断し，甲状腺全摘出および頸部リンパ節郭清を施行.TNM分類はpTSNlaM0であった.以後TSH抑制療法を開始し，残存甲状腺を認めず，血清サイログロプリン（Tg)値は測定感度以下で経過良好であった.術後29力月で脳腫瘍精査のため入院となり，脳腫瘍摘出術でPTCによる移性脳腫瘍と診断.退院後のFluorine-18 fluoro-deoxyglucose positron emission tomography/computed tomography (FDG-PET/CT)で右頸部，左鎖骨上窩リンパ節に集積像を認めたため同リンパ節郭清を施行後，アイソトープ治療を行った.本例は癌死危険度分類で，高危険度群に属し，高危険度群のI-131シンチゲラフィは陰性例が多い.PDG-PET/CTは高危険度群の再発の評価，局所制御に有用であると考えられた.