鉄過剰症の基礎と臨床

摘要

鉄は生体に最も多く存在する金属元素であり,赤血球のヘモグロビン合成,各種細胞内の酸化還元反応,細胞の増殖·アポトーシスなどに関与する必須の元素である.しかし,鉄が過剰に存在すると,細胞に有害な活性酸素を産生させる細胞毒として働く。 生体の総鉄量は約4gで,大部分は赤血球産生と破壊による再利用と肝臓などで貯蔵が占め,わずかに1-2mgの鉄が消化管から吸収されるにすぎない。この巧妙な飲代謝機構は,フェリテン,トランスフェリンなど古くから知られている分子の他,新規に同定されたへプシジンなど多くの分子によって調節されている.