バイオマーカーとしてのp53 その現状と個別化に関する新しい試み

摘要

ヒトがんで高頻度に認められるがん抑制遺伝子TP53の変異は，細胞周期調節やアポトーシス誘導などの機能の破綻によるゲノム安定性をもたらし，発癌過程におけるゲノム上の異常の蓄積をもたらすことにより発癌に関わるものと考えられる．TP53変異が最初に報告された1989年1）以来，膨大なTP53変異が報告され　現在，文献検索や未発表データの登録により2大TP53変異データベースが構築されている3，4）．2002年の段階で17,000以上，12,000以上のミスセンス変異（全体の約75％）が報告され　ミスセンス変異の種類は1,066種類であった．各種腫瘍において高頻度（10～70％）に見い出されるTP53変