オーバービュー

摘要

リンパ系腫瘍の病理組織分類もしくは疾患分類として，1994年にREAL分類（RevisedEuropean－American Classification of Lymphoid Neoplasms）が公表され，1990年代末から2000年代初頭に，REAL分類を発展·修正した形で，血液腫瘍全体の分類としてWHO分類第3版が公表された。REAL/第3版WHO分類は研究面のみならず診療においてもリンパ系腫瘍の疾患単位認識を一変させ，リンパ系腫瘍分類の世界標準として用いられる様になった。その後，2006年頃よりWHO分類第3版改訂に関する国際プロジェクトが開始され，2008年にWHO分類第4版が単行本として刊行された。WHO分類第4版単行本出版は世界の多くのリンパ腫専門家から待望されていたためか予測を超える売れ行きを示し，初回印刷版が一時売り切れになったほどである。悪性腫瘍の中でも際立った多様性を示す血液腫瘍の研究と診療において，世界標準とされてきた疾患分類改訂の及ぼす影響が大きいことは言うまでもない。