固形腫瘍に対する同種造血幹細胞移植

摘要

Graft-versus-host diseaseとgraft-Versus-tumor effect　 移植片対宿主病（Graft-versus-host disease；GVHD）はドナー由来の免疫細胞（主にT細胞）が宿主を異物と見なすことにより生じる病態であり，同種造血幹細胞移植後の重篤な合併症の一つである。発症する時期によって，移植後早期の急性GVHDと移植後100日以降の慢性GVHDに区別される。 急性GVHDの多くは移植後，ドナー屈来の造血細胞が生着する移植後2～3週間頃に好発する。 対象となる主な臓器は皮膚 腸管 肝臓であり，皮疹の広がり，下痢の量，ビリルビンの上昇によりGVHDの重症度が定義されている。 慢性GVHDは移植後100日以降から皮膚，肝臓，分泌腺組織を中心にさまざまな症状を長年にわたって呈する病態であり，移植後のQOLを大きく害することがあり，また致死的感染症を合併することがある。