鉄過剰症と鉄キレ一ト療法

摘要

再生不良性貧血や骨髄異形成症候群（MDS)などの 難治性貧血疾患では，多くの場合頻回の赤血球輸血が必 要になる。わが国の赤血球輸血製剤は1単位あたり約 100mgの鉄を含んでいるが，ヒトには鉄の積極的排出 機構が備わつていないため，出血や溶血が存在しない限 り鉄がどれだけ負荷されても排出は1日あたり1mg程 度に限られる。このため，1回2単位の輸血でいわば 200日分の鉄が体内に入ってくることになり，頻回の赤 血球輸血は最終的に鉄過剰症をきたす。