造血幹細胞移植後の感染症の診断と治療 サイトメガロウイルス感染症

摘要

同種造血幹細胞移植は，白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患を対象に実施され，急性白血病の寛解期あるいは慢性骨髄性白血病の慢性期で50～60％の，また再生不良性貧血で60～80％の長期生存率をもたらしうる治療法として確立された。 現在，同種造血幹細胞移植としては，骨髄移植（血縁者，非血縁者），末栴血幹細胞移植，臍帯血移植（血縁者，非血縁者）が実施されている。 　 造血幹細胞移植後の感染症は，移植片対宿主病（Graft-versus－host disease，GVHD）や臓器不全とともに移植成績に大きな影響をおよばす移植関連合併症である。最近では，HLA不適合移植や高齢者に対する移植，また臓器障害を有する症例に対する移植なども積極的に試みられており，感染症合併のリスクも高まっている。移植成績の向上のためには，感染症の早期診断，早期治療，また予防対策が重要である。