臨床応用のための凍結保存ヒト肝細胞 ヒト肝細胞分離および凍結保存法の臨床応用と問題点

摘要

日本の脳死肝移植はまだ軌道にのってはいないが,アメリカではすでに劇症肝不全や先天性肝代謝機能障害などの各種肝疾患に対して多数の全肝移植が行われている.さらに,ヒト肝細胞移植の臨床治験が進められているが,とくに緊急性の高い急性肝不全では,新鮮な肝細胞の供給量が不足の場合には凍結保存肝細胞も用いられている,現在は凍結解凍後の肝細胞生存率が低いため.おもに若年者ドナー凍結肝細胞を治療に使用しているが,今後の肝細胞移植の増加に対処するには,すべての年代のドナー肝を活用できることが望ましい.しかし,凍結肝細胞は実際に治療に使用するにはなお肝細胞生存率が低いという問題があり,このままではルーチンの治療法となりにくい.肝細胞移植の成功率を高めるにはさらなる凍結保存技術の開発が必要であろう.