メタボリツクシンドロームの病態とFat ROS 肥満脂肪組織の病態におけるROSの病態的意義

摘要

わが国では,食生活やライフスタイルの欧米化や過食,運動不足といった生活習慣によって肥満者が急増している.肥満はインスリン抵抗性や耐糖能異常,脂質異常症,高血圧と密接に関連しており,メタボリックシンドロームの発症基盤である.近年,肥満に伴う脂肪組織の炎症にはマクロファージの浸潤が重要な役割を果たすと考えられている.このような脂肪組織ではTNF-αやIL-6などのサイトカインだけでなく,活性酸素種(reactiveoxygen species:ROS)の産生が亢進することで,炎症反応やアデイポサイトカインの産生異常が誘導され,全身性のインスリン抵抗性が起こると考えられる(図1).