制御性T細胞の機能調節と治療への応用 基礎研究の成果と今後の展望

摘要

制御性T細胞は免疫制御に特化したCD4＋T細胞であり，自己免疫病 アレルギー疾患 炎症性腸疾患の発症抑制に必要な生理的機構である．これまでの基礎研究によって，制御性T細胞の量機能を調節することによって腫瘍免疫の効率的な誘垂や，移植臓器に対する寛容成立を誘導できることが示されている，これらの基礎研究に基づき，制御性T細胞を利用した免疫制御法確立のための臨床研究が最近急速に進んでいる．本稿では，これまでの制御性丁細胞に関する基礎研究の成果を概観することで，制御性T細胞による免疫制御の特殊性を描き出すとともに現在の研究における問題点を浮き彫りにし，そこから明らかになる臨床応用のために必要な準備としての基礎?臨床研究について概説することをめざす．