セ抄ンと癌の化学予防セレンは前立腺癌の予防に有効か

摘要

栄養素としてのセレンは， glutathioneperoxidaseなどセレン蛋白質の活性中心を構成することにより，酸化ストレスに対する防御因子として作用する．一九セレンは癌の増殖を抑制する作用をもつことが多くの動物実験や疫学調査により示されてきた．とくにこの数年，セレンは前立腺癌に対する予防因子として注目され，アメリカではセレンによる癌化学予防試験がスタートした．セレンの抗癌作用はセレン蛋白質を介する作用ではなく，セレンの代謝物であるmethyl selenolによる薬理作用であろうと考えられている．近年， methylsele-noト溝効率的に産生する前駆体が利用可能になったことから，前立腺癌を中心こ，セレンによる抗癌作用の機構が解明されつつある．セレンは前立腺癌細胞のアンドロゲン受容体やprostate-specific antigen(PSA)の発現を抑制することで前立腺癌の進展を防ぐという新しい作用機構が提唱されている．