第81回日本衛生学会学術総会（東京）での森林医学研究会による企画シンポジウムに関連した特集について予防医学の視点から森林セラピーの健康増進?疾病予防効果を検証する

摘要

森林環境はその静かな雰囲気，美しい景色，穏やかな気候，きれいな空気，特有な香りなどの要素で古くから人々 に親しまれてきた。森林浴は，昭和57年に林野庁が提唱し，赤沢で初めての全国大会が開催された。それ以来，徐々に国内に普及して きた。しかし，森林の健康増進効果については，医学的な解明が不十分であり，客観的かつェビデンスに基づく科学 的な分析と評価が求められている。こうした中，農林水産省は平成16年度から3年間の計画で「先端技術を活用した 農林水産研究高度化事業」を立ち上げた。これによつて各分野の専門家からなる森林浴研究プロジ:^タトチームが結 成され，「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果」について科学的に検証を実施する研究がスタートし，大きな研 究成果を挙げた。森林医学研究を日本で定着させるためには，森林浴?森林セラピーの効果，森林浴がストレスマネ ジメント法及び疾病予防法としての可能性について日本衛生学会を通して社会に発信することは非常に重要である。 こうした情勢の中，2007年，大阪国際交流センターで開催された第77回日本衛生学会総会において森林医学研究に携 わっている日本衛生学会の会員と他の関連学会の会員が共同で「森林医学研究会」を発足させた。