ステロイドホルモン抵抗症と過敏症

摘要

近年，受容体のみならず転写共役因子の解明が進み，ステロイドホルモンの作用機構の詳細が明らかになった．これに伴い，従来知られていた受容体の変異によるステロイドホルモン抵抗症のほかに，転写共役因子の異常による疾患のような新しい疾患概念が構築されつつあり，またその一方でステロイドホルモンの標的遺伝子の異常や標的細胞内におけるステロイドホルモンの代謝調節により，最終的なホルモン作用のアウトプットに変化が生じ，ステロイドホルモン抵抗症，あるいは過敏症が生じることも推察されておリ,とくに生活習慣病との関連も取りざたされている.さらに，膜受容体を介する他の情報伝達系とのクロストーク，核内分布，核における分解過程なども注目されている．本稿では字数の関係で，ミネラルコルチコイド，グルココルチコイド，および著者らが研究の対象としているアンドロゲンに焦点を絞って概説した．