シリーズ生命科学者のための特許講座4いざ出願？手順，費用と特許権の帰属

摘要

日々の研究生活において，研究成果を特許にするには具体的にどうすればよいのか，というような問題は，結構わずらわしいものだ．大学などの研究者にとって，今まで特許は縁遠いものだったかもしれないし，出願をする気になっても，どう進めていけばよいのか，積極的なアイデアもないまま日々が過ぎ去っていった経験があるかもしれない．現実に特許を出すにしても，たまたまつき合いのあった身近な企業に丸投げしていたのがせいぜいではなかっただろうか．最近ではTLO（technology licensing office）などの技術移転機関が受け皿として活躍するようになってきているが，個々の研究者には敷居が高く感じられたり，あるいはTLO自体も基盤が弱体だったり，まだ試行錯誤を重ねている段階で，必ずしも十分に機能していない場合もあるようだ．さらに最近では，大学などにおける知的財産部門の設置や発明の原則「機関帰属化」の動きも出てきた．このような状況下において，発明を抱える研究者の直面する問題と，その解決のためのヒントについて概説してみたい．