炎症性腹部大動脈瘤と後腹膜線維症を合併したIgG4関連疾患の一例

摘要

IgG4関連疾患(IgG4-related disease ： IgG4-RD) は，高IgG4血症と各臓器へのIgG4陽性形質細胞 浸潤と線維化を特徴とする慢性炎症性疾患である。 その標的臓器は膵臓，胆管，胆嚢，唾液腺，肝臓の 門脈域，腎臓，胃粘膜など多岐にわたる。今日では 炎症性大動脈瘤(Inflammatory abdominal aortic aneurysm ： IAAA)にIgG4-RDが関与したことが病 理学的に明らかな症例が複数報告されている。今回，我々はIgG4-RDによるIAAAと後腹膜線 維症を合併した症例を経験したので報告する。