糖尿病には日本人と欧米人で人種差がありますか？

摘要

糖尿病の表現型には民族差が認められる.日本人はあまり肥満しないのに，糖尿病患者は欧米と同程度の頻度であることが，曰本人は糖尿病になりやすいといわれる理由と考えられる.曰本人と欧米人で血糖上昇要因を比較すると，日本人はインスリン初期分泌能が低下しているために，負荷後血糖値が先行して上昇して糖尿病に至るケースが多い.したがって日本人の病態に合う治療·予防戦略は，インスリン分泌能の低下に注目し，食後高血糖を夕ーゲッ卜にしたものであると考えられる.ィンクレチン関連薬もインスリン分泌を促進する薬剤であり，わが国の糖尿病患者の病態に合う薬剤として，その効果が期待される.血糖上昇要因は民族や個体によりそれぞれ異なるため，病態とステージを評価し，それに応じた薬剤を選択することが肝要である.