早期子宮頸癌における腹腔鏡下手術と注意点

摘要

子宮頸癌に対する手術療法は，本邦では1921年Okabayashiらによる広汎子宮全摘 術が報告されて以来，さまざまな改良がなされ安全かつ有用な術式として確立している. 当時は主として比較的進行癌の患者が対象と考えられ，したがって根治的摘出に到達する ためには相当広範囲な原発巣周辺組織の摘出が必要とされたが，生存例では排尿障害や下 腿浮腫が不可避となり，何らかの対策が必要であった.その後，癌に対する基礎研究の進 歩や子宮がん検診の事業化が進み，さらに1975年以降に現れたCT/MRIなどの画像診 断システムの発達とともに早期癌の発見?診断が可能となる一方，2000年以降，放射線 化学同時療法の治療成績が認識されると，進行期ごとあるいは患者ごとの治療法選択が提 示可能となり，2007年には本邦での婦人科腫瘍専門医制度の開始とともに標準的な治療 法選択の一助として『子宮頸癌治療ガイドライン』が刊行された..