妊娠合併悪性卵巣腫瘍の治療と管理

摘要

妊娠に合併した卵巣腫瘍の頻度は全妊娠の1-4%といわれ，そのうち約98%が良性腫瘍である.近年，超音波診断技術の進歩により，妊娠時に卵巣腫瘍が発見される確率は高くなつてきているが,多くは黄体囊胞のような妊娠初期に認められる機能性囊胞である.妊娠時に卵巣腫瘍を認めた場合，それが機能性囊胞であるか他の腫瘍であるかの鑑別がまず必要である.次に，機能性囊胞が除外された場合,良性か悪性かの診断が重要となる.悪性卵巣腫瘍が妊娠に合併するのは極めてまれであり，正確な頻度は不明であるが,10,000 -25,000の妊娠に1例と報告されている.