同時性肝転移に対する治療戦略のcontroversy

摘要

大腸癌研究会によると，大腸癌同時性肝転移の頻度は10.9%と遠隔転移部位の中で最多である.大腸 癌肝転移に対する肝切除術後の5年生存率は38% (16-74%)であり，ほかの癌種と異なり，たとえ 遠隔転移が存在しても，切除することにより生存期間 の延長が見込めることは周知の事実である.そのため 大腸癌治療のゴールはR0切除ともいえる，そのゴー ルへ向かい，より良い治療を選択することは非常に重要である.近年，外科手術治療や化学療法の進歩により，大腸 癌肝転移の治療戦略も日々変化している.切除可能肝 転移症例に対して切除先行か，周術期化学療法を行う のか，また肝切除後に術後補助化学療法は必要なのか， さらに同時性肝転移症例では原発巣切除を先行すベき か否かなど，解決されていない問題点がたくさんある.