H_2レセプターの発見と漬瘍治療薬開発史

摘要

今年でH_2レセプター括抗薬が臨床現場に登場して30年弱になる. H_2レセプター拮抗剤出現は消化性潰瘍治療に大きな変化をもたらした.H_2レセプター拮抗剤の出現以前には消化性潰瘍は外科治療の対象であったが,薬物治療による内科的治療の対象へと変化した. 1990年代になるとプロトンポンプ阻害剤の登場により,胃酸分泌のほぼ完全な抑制をすることが可能になった.さらに近年ではH.pylori感染が消化性漬瘍の病因として認識されH.pylori除菌療法が消化性潰瘍の主たる治療の一つとなっている.すなわち, H_2レセプター拮抗剤の出現は,外科的治療から内科的治療への転換点となった.本稿では, H_2レセプター拮抗剤に焦点を絞り潰瘍治療薬の開発史およびH_2レセブタ-とその拮抗剤の特徴について概説したい.