デフェンシンは樹状細胞を成熟 活性化して抗腫瘍作用を発揮する B細胞性悪性腫瘍に対するアジュバント効果

摘要

殺菌ペプチドは昆虫から高等脊椎動物まで幅広く存在し，宿主を病原微生物の感染から守るために働いている．殺菌ペプチドにはいくつかのファミリーがあるが，デフェンシンとcathelicidinファミリーの殺菌ペプチドが，哺乳類においてとくに重要な役割を果たしている．　 哺乳類のデフェンシンは，およそ30～50個のアミノ酸からなる塩基性ペプチドであり，分子内に3つのシステインージスルフィド（S-S）結合をもちbeta－シート構造をとる．そして，S－S結合の位置の違いによってalpha－デフェンシンとbeta－デフェンシンに分類される．ヒトではそれぞれ6種類のalpha-デフェンシンとalpha－デフェンシン（humanalpha defensin：hBD）が報告されている．ヒトalpha－デフェンシンは主に好中球（human neutrophil peptide：HNP）や小腸バネト細胞（humandefensin：HD）に存在するが，hBDは主に皮膚，気道上皮，泌尿生殖器などの上皮組織に存在する.