M細胞による抗原の認識取り込みとそのレセプター

摘要

体内外の境界は皮膚および粘膜によって形成されている．重層する表皮細胞ならびに角質層によって比較的堅牢な防壁を体表面に形成する表皮とは異なり，粘膜面の多くほ単層の粘膜上皮細胞によって覆われているのみである．堪膜系の中でもとくに腸管粘膜は，その主たる磯能の一つである栄養や水分の吸収効率を高めるために，腸管粘膜の襲である絨毛や，吸収上皮細胞の頂端面細胞膜に存在するブラシの毛状の突起である微絨毛という構造を発達させることにより約400m2にも及ぶとされる広い表面積をもち，食物抗原や，食物とともに摂取される外来微生物，さらには100兆個にも及ぶとされる腸内常在細菌叢などの異物抗原に常に曝されている．実際多くの感染症において，粘膜面はその病原微生物の初期侵入経路になると考えられている．したがって粘膜は，免疫系がこれら病原体の感染から個体を守る際の最前線としてもっとも重要な部位の一つと考えられる.