抗EGFレセプター抗CD3二重特異性抗体の抗腫瘍作用

摘要

上皮成長因子受容体(epidermal growth factorreceptor;EGFR)はさまざまな固形癌表面に過剰発現がみられる分子量約170kDaの膜貫通型受容体蛋白質で， EGFR(ErbB-l，HERl)， ErbB-2(HER2)， ErbB-3(HER3) ， ErbB-4(HER4)からなるEGF受容体ファミリーに属している．これらの受容体は3つの特徴的なドメイン，すなわち細胞外のリガンド結合ドメイン，膜貫通ドメイン，および細胞内チロシンキナ-ゼドメインから構成されており， EGFなどのリガンドが結合するとホモ，およびヘテロニ量体化が促進される．このことが細胞内ドメインのチロシンキナ-ゼ活性を上昇させ，自己リン酸化反応を経て，細胞増殖および生存に関与する情報伝達カスケードが作動される(図1)．