尿蛋白測定のピットフオール：尿蛋白/クレアチニン比に及ぼす加齢による尿中クレアチニン排泄量の変動

摘要

尿中の蛋白排泄量を把握することは，腎疾患の重症度や活動性を判断する上で重要である。一般に， スクリ 一二ング検查は尿試験紙による定性検査が実施されているが，尿の濃縮や希釈のため随時尿を用いて尿中蛋白排泄量の把握には限界がある。2007年， 日本腎臓学会は慢性腎臓病（chronic kidney disease: CKD)に対する取り組みとして「CKD診療ガイド」u を，続く 2009年にEBM立脚のガイドラインである「ェビデンスに基づく CKD診療ガイドライン2009」2)を刊行した。その中でアルブミン尿·蛋白尿における検体の採取と評価法の項目にて，随時尿を用いた試験紙による定性検査や，随時尿または畜尿（1日あるいは時間）を用いた定量検査を行うこととし，随時尿における定量検査では同時に尿中クレァチュンを測定して尿蛋白/クレアチニン比（以下P/C比）を算出して評価するとしている。