骨露出を伴った外傷性皮膚欠損に対して人工真皮（ベルナック~R）が有用であった1例

摘要

1980年Yannas，Burkeらがコラーゲンにグルコースアミノグリカンであるコンドロイテン硫酸を添加して作ったスポンジにシリコン膜を重ねた人工真皮を開発して以来，今日では数種類の人工真皮が開発され，発売されている。真皮欠損用グラフトであるベルナックはアテロコラーゲンのスポンジ層にシリコンフイルムを重ねた人工真皮（以下ベルナック~R）でⅢ度熱傷創，外傷性皮膚欠損，腫瘍切除後の皮膚欠損，皮弁採取部等における全層皮膚欠損創に対して真皮様細織を再生させ良好な肉芽を形成することができる。 また，骨や腱の露出部等の植皮が生着しにくいような部位においても使用することで植皮の生着率を向上させ，臨床的にもその有用性が多数報告されている。今回我々は，外傷により5×7cmの広範囲な骨露出を生じた症例に対してベルナックを使用し良好な結果を得た1例を経験したので報告する。