ミケランジェロの生い立ち 2.幼児期体験が脳に残したもの

摘要

父方プオナロッテイ·シモーネの一族は,1250年頃に行政官としてフィレンツェヘヤって来た.以来ミケランジェロの祖父の代までほ社会的地位に恵まれ,フィレンツェの執政官signoriaになった者もいる.経済的にも繁栄していたと伝えられている.一族の者はほとんとが商人や銀行家,官吏であり,芸術家は出ていない.父ロドヴイコは下級官吏ではあったが自らの血筋を誇りにしており,ミケランジェロにはその血筋にふさわしい職業に就き,家運を再興するよう望んでいた.文法学校へ通わせたのもそういった期待からであった.しかしミケランジェロは急速に絵画へ傾斜していく.結果として父とミケランジェロとの間にどのような軋轢が生じたかは容易に想像がつく.