病院小児科勤務医の勤務状況とその改善について

摘要

近年の日本では，子どもがいつどこで病気になっても専門小児科医に診て欲しいという要望が強まった結果，小児救急の主要な担い手である病院小児科勤務医に過度の負担がかかっている．北陸三県の大学病院を除く病院小児科の医師数は平均2．4名であり，医師の37％は月6回以上の，9％は10回以上の当直を，当直前後の勤務の軽減もなく行っていた．当直業務以外にオンコートルで拘束されたり病院に呼ばれる回数も多かった．小児科医になったことを後悔しているものは6％であったが，74％の医師が今後いつまでこのような過酷な勤務を続けられるか不安であると答えた．良好な小児医療は良好な小児科医師の勤務状況の下ではじめて可能であることは明らかで，将来の小児医療を守るために，日本小児科学会や若手小児科医の供給源である大学小児科はこの極めて劣悪な小児科勤務医の状況を深刻に受け止め，実効性のある改善策を直ちに講じる必要がある．