新しく開発された培養液HFF99のヒト体外受精への臨床応用

摘要

体外受精胚移植（IVF－ET）の成績向上に培養液は重要な要素の一つである．現在IVF－ETに培養液human tubal fluid（HTF）が広く使用されている．今回著者らは，新しく開発されたヒト卵胞液親成に近いアミノ酸を含有する培養液human follicle fluid（HFF99）をHTFと比較した．患者群を2群に分けて前方祝的無作為試験を実施した．受精率はHFF99で73．6％，HTFは67．6％，妊娠率はHFF99で34．5％，HTFは28．6％を示し受精率，妊娠率ともHFF99でHTFと比べ有意差は認められないものの高値を示した．これを媒精法別でみるとICSIでは培養液間で差は殆ど見られなかったが，conventional-IVF（c－IVF）施行の受精率はHFF99で64．9％（96/148）に対してHTF51．0％（73/143）であり有意（P＜0．05）にHFF99の受精率は高かった．妊娠率では有意差は認められないもののHFF99で高い傾向を示した．症例は少ないが，子宮内膜症でのHFF99の妊娠率は71．4％（5/7）で，HTFの妊娠率25．0％（1/4）に比べ高値を示した．HFF99は安定した成績が得られヒトIVF－ETの培養に有用であることが判明した．