シンポジウム2「STDと不妊症」1）STDと不妊症 － 男性

摘要

男性の性感染症（Sexually Transmitted Diseases：STD）と不妊症の関連については，現在まで多くの研究がなされてきた．しかし，女性の場合と異なり，直接的な関連については，未だに議論の分かれるところである．男性のSTDの原因微生物としては，淋菌，クラミジア·トラコマティス，マイコプラズマ·ジェニタリウムが大部分を占める．性器クラミジア感染症（主に子宮頸管炎）の罹患率が高い女性のSTDと異なり，男性では，淋菌感染症の雁恩率が高い．また，疾患としては，尿道炎，急性精巣上体炎が挙げられる．実際，臨床的には男性のSTDとしては，尿道炎がほぼ全てであり，急性精巣上体炎の頻度はそれほど高くはない．その他に，ヒトヘルペスウイルスによる性器ヘルペス，ヒトパピローマウイルス（Human papillomavirus：HPV）による尖形コンジロームも女性のSTDと同様にウイルス性STDとして代表的であるが，その罹患率は淋菌やクラミジア性の尿道炎と比較すると極めて低い。