HIV患者のニューモシスチス肺炎

摘要

ニューモシスチス肺炎{Pneumocystis pneumonia ： PCP)は，HIV感染者に生じる23種類のAIDS指標疾患のうちで最も頻度が高い日和見疾患である。PCP の原因であるPneumocystisは，1909年にChagasによりTrypanosoma cruziの生活環の一部と誤って初めて記載され，それ以来約100年が経過した。1980年代にHIVが登場するまでの約70年間は注目されることはほとんどなかつた。HIV出現後，PCPはAIDS関連疾患として広く知られるようになったが，本邦ではまだまだその知名度は高いとはいえない。PCPによる「いきなりAIDS」の患者は，明日外来で出会う可能性もあるといえる。本稿ではHIV患者におけるPCPについて概観する。