特集2 「移植医療の新展開一改正臓器移植法施行後1年を経過して一」を企画して

摘要

2010年7月17日に「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」が公布されてから， 1年以上が経過した。この法律では，本人の臓器提供の意思が不明な場合にも，家族の承諾 があれば臓器提供が可能となった。これにより，15歳未満の者からの脳死下での臓器提供 も可能になった。また，臓器提供の意思表示に際して，親族に対し臓器を優先的に提供する 意思を書面により表示できることになつた。その結果，改正後の1年間で55例の臓器提供 数がみられ，これまでの約9倍の増加となった。そして，そのほとんどが意思表示カードに よらず，ご遺族の意思によって行われたことは，まさに当該法が公布後すぐに機能している ことを示すものである。