腹腔鏡下食道空腸再建術の定型化の工夫：EndoStitchによる 巾着縫合とENDOCAMELEONを用いた視野展開

摘要

先日，NCDデータを用いた消化器外科領域の 腹腔鏡手術に関する緊急調査結果が，日本外科学 会と日本消化器外科学会の合同で速報として報告 された1)。腹腔鏡下胃全摘術によるリスクは，死 亡率0.89%,標準化死亡比0.73と決して高くは ない。しかし，胃全摘術のなかで腹腔鏡手術が占 める割合は15.7%にとどまり，癌の進行度を含め た患者背景や，術者の技量や経験年数などの手術 要因は，開腹と腹腔鏡で大きく異なる可能性があ る。また，腹腔鏡下胃切除術の死亡率が0.43%で あることから，同じ腹腔鏡下胃切除でも，全摘術 は幽門側切除のほぼ倍のリスクがあると想定され る。本稿では，腹腔鏡補助下胃全摘術のなかで もっとも難易度の高い，食道空腸吻合にフォー力 スし，サーキュラースティブラーを用いて安全に 吻合するための工夫について概説する。