ネコひっかき病のMRl診断　軟部腰瘍との鑑別診断における有用性

摘要

ネコひっかき病は，ネコ（あるいはイヌ）との接触や咬傷後に，多彩な皮膚病変を生じ　所属リンパ節の腫脹をきたす疾患で，グラム陰性小桿菌であるBartonella henselae を病原体とする感染症である．本症は1950年にDebreらが疾患単位として報告しているが，病巣からの病原体の分離培養ができなかったため，ウイルスやリケッチアが病原体ではないかと考えられていた.　 典型的には受傷後，数日～2週間後に受傷部位に丘疹を認め，2～4週間程度で所属リンパ節が腫大する.　 しかし，リンパ節腫大は多くは一側性であり，鶏卵大以上の大きいリンパ節腫大をみることも少なくない.　 また，ネコなどの動物との接触歴が軽微であったり明瞭ではない　 こともある．このためネコひっかき病は，軟部腱瘤　 の所見から軟部腫瘍を疑われ，整形外科を受診する　 例が多い．診断には従来，病原菌の分離培養や血清　 診断，DNA診断などが行われてきたが，おのおの　 手技，汎用性に問題点がある．